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第１回 … ロトの兜の謎についての考察
記念すべき第１回は、ロトの兜に関する考察です。
ＤＱをあまりよく知らない方の為に説明すると
「ロトの兜」とはＤＱ２にのみ登場した、ローレシア王子専用の防具です。
ＤＱロト３部作は、作中の時間で言えば３→１→２の順で続いています。
つまり３の勇者が１や２の世界で語られている「勇者ロト」なワケです。
そして彼の最終的な装備「王者の剣」、「光の鎧」、「勇者の盾」がそれぞれ
「ロトの剣」「ロトの鎧」「ロトの盾」となるワケですが、
困ったことにＦＣ版３では「ロトの兜」に相当するアイテムは存在しないのです。
呪われていない最強の兜は「鉄仮面」。ＤＱ２公式ガイドブックの「ロトの兜」のイラストとは
まったく異なるデザインです（呪われていて最強の兜「般若の面」は論外）。
つまり、ロトの兜は３の時代の後にどこからともなく突然現れたのです。
これは一体どうした事なのでしょうか。
いくつか考えられる事を挙げてみましょう。
１…やはり鉄仮面がロトの兜であり、デザインは後に作りなおされた
２…ＳＦＣ版、ＧＢ版にのみ登場した「オルテガの兜」がロトの兜である
３…ロトの兜は後から適当に作られたニセモノである
どれも決定的な証拠がありませんねぇ…。
１に関しては、後述の「ロトの紋章」内において「ロトの防具は全てブルーメタル製である」という
定義付けがなされているので「鉄」仮面では無理があります。
２が今一番有力な説と言われていますが、後からつけたような設定なので個人的には納得できません。
じゃあＦＣ版ＤＱ３とＤＱ１がつながらないじゃないか、って事になりますからね。
また、これはムオルの村人がポカパマズことオルテガの為に作った代物で、
外見的にもブルーメタルとは思えませんし、もちろん公式ガイドブックのロトの兜のイラストともかけ離れています。
３に関しては…うーむ。信じがたい事ではありますが。
ここで、この疑問を語るには欠かせないガンガンコミックス「ロトの紋章」を見てみることにします。
これは藤原カムイ先生によって少年ガンガンに連載されていた、ＤＱ３とＤＱ１の間を埋める物語ですね。
注目の、ロトの兜のいきさつについてはどうでしょうか。
コミックス２巻で、主人公アルスはゾーマと戦う勇者ロトの姿を見ます。
ところが、兜をかぶってません。
おいおい、と思いつつ読み進めてみると…
ロトの血を引くローラン王国の王子にして魔王異魔神の配下、魔人王ジャガンが父であるローラン４世と戦います。
ここでのローラン４世は、ロトの兜をかぶっていきなり出てきます。
何故だ。
すでに激しく矛盾が生じています。
で、兜はジャガンの振り下ろす剣によって切り裂かれ、ローラン４世はあえなく絶命。
ロトの装備は魔王異魔神によって血の洗礼を受け、赤く染め上げられてしまいます。
その後。後に１のラスボスとなる竜王がロトの兜を目にします。
「これはロトの兜…ジャガンが自ら封印していた因縁の防具…」とつぶやきます。
何らかの理由があって、ジャガンはその後兜を封印していたのですね。
まあ、先述のとおり兜には大きな斬り傷ができていましたからどの道使い物にならないでしょうが。
しかし、その後ジャガンは光の洗礼を受けて勇者アランとなるに至るまで、果てはエンディングまで、
なんと全くロトの兜を使用しません。
それどころかロトの兜自体が登場しません。
つまりこのマンガにおいても、ロトの兜の謎は解決していないのです。
うやむやのまま黙殺されてしまっているのです。
なんという事でしょう。
ともかく、これによって証明された事がひとつあります。
あのＤＱ２公式ガイドブックに載っていたロトの兜は、実際に勇者ロトが使っていた兜ではないのです。
となると、先ほどの１と２の説は自動的にご破算となります。
では、残るは３…ニセモノ説。
…これはあまり信じたくない説ではありますが、これしかありません。
とはいえ仮にもＤＱ２最強の兜、しかもブルーメタルで作られている事は間違い無いし、強力である事には変わり無さそうです。
ブルーメタルは「ロトの紋章」内ではアルスの装備や牢獄の鉄格子の材料などにもされていることから、
貴重ではあるがオリハルコンのように極端に少ない、という材質ではないようです。
つまりロトの兜は、ロトに詳しいある人物が、ロトの装備の見栄えを良くする為に
同じ材質のブルーメタルを使い、後から作り上げた物なのではないでしょうか？
とすると、作られたのはＤＱ３から「ロトの紋章」時代までのどこか、という事になります。
その期間でロトと関わりがあった武具関係の人物というと…
…あ、いた。
ドムドーラのゆきのふさん。
ＤＱ３のドムドーラの武器屋店主の子供にして、ＤＱ１のドムドーラの武器屋店主の曽祖父でしたね。
ＤＱ３ではまだ生まれていませんでしたが、武器屋の店主のセリフ「これから生まれてくる子供の名前を考えているので…」
から察するに、エンディング後すぐ誕生したのは明白でしょう。
ＤＱ１において、彼がロトの鎧を店の裏手の樹の根元に隠していた事が判明します。
ここで注目なのは、ＤＱ１には兜という概念自体が存在しないこと。
つまり、兜は鎧に含まれていたのではないか？という説が浮上します。
これならば、ＤＱ２にしかロトの兜が登場しなかった理由も説明がつきますし、
ゆきのふが鎧に合わせてどこかの鍛冶屋にでも兜を作らせた、というのもうなずけます。
武器商人であった（と思われる）ゆきのふがブルーメタルを手に入れるのは、それほど難しい話では無かったでしょう。
管理人は、今の所はこの説が最有力だと思っているんですが、いかがでしょうか。